第5章 津波

5.1 津波の基本

津波は、長期間の観測値(既往の最大津波波高、最高潮位等)や浸水記録等の実測値又は数値解析により適切な津波波高さ等を設定するものとする。

津波の来襲中に観測された潮位から津波来襲時の平常潮位を差し引いたものの最大値を浸水高(津波高さ)という。

図 2-5-1 遡上高と浸水深

5.1.1 想定津波の設定

(1) 最大クラスの津波 — 発生頻度が概ね数百年から千年に1回程度で極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波である。

(2) 発生頻度の高い津波 — 概ね数十年から百数十年に一度程度の頻度で発生する津波。通常の漁港・漁場の施設の性能照査に用いる「設計津波」は「発生頻度の高い津波」とする。

5.1.2 設計津波

図 2-5-2 設計津波の水位の設定フロー

5.1.3 設計条件の設定方法

図 2-5-3 設計条件選定フロー

5.2 津波の波力

5.2.1 津波波力の算定

津波による波力は、【津波】の規定に従って設定した津波の諸元、構造物の形式及び越流の有無等を考慮して、適切に算定するものとする。

5.2.2 海中の直立壁に作用する津波波力の算定式

図 2-5-4 津波波圧算定フロー

(1) 谷本式

η=3aI(式 2-5-1)\eta^* = 3a_I \tag{式 2-5-1}
p1=2.2ρ0gaI(式 2-5-2)p_1 = 2.2\rho_0 g a_I \tag{式 2-5-2}

図 2-5-5 谷本式による津波波力

(2) 水工研式

水産工学研究所(現水産技術研究所)は、堤体の前面及び背面における水位変動に基づく圧力バランスを考慮した津波波力算定式を提示した。

図 2-5-6 水工研式による津波波力

5.2.3 陸上の直立壁に作用する津波波力の算定式

図 2-5-7 胸壁に対する津波波力算定手順

(1) 非越流時の津波波力

① フルード数による津波波力算定法

Fr=Ugηmax(式 2-5-8)Fr = \frac{U}{\sqrt{g\eta_{max}}} \tag{式 2-5-8}
pmaxρ0gηmax=α(1Zαηmax)(式 2-5-9)\frac{p_{max}}{\rho_0 g \eta_{max}} = \alpha\left(1 - \frac{Z}{\alpha'\eta_{max}}\right) \tag{式 2-5-9}
α=1.0+1.35Fr2(式 2-5-11)\alpha = 1.0 + 1.35Fr^2 \tag{式 2-5-11}

図 2-5-8 非越流時の津波波力算定式(フルード数による方法)の概念

② 津波浸水深による津波波力算定法

図 2-5-9 非越流時の津波波力算定式(浸水深による方法)の概念

(2) 越流時の津波波力

図 2-5-10 越流時の波圧分布

図 2-5-11 天端上水位 η2\eta_2 の定義

5.3 津波の流れの作用に対する被覆石及びブロックの所要質量

イスバッシュの安定質量算定式(式 2-5-21)を用いることができる。

M=πρrU648g3y6(Sr1)3(cosθsinθ)3(式 2-5-21)M = \frac{\pi\rho_r U^6}{48g^3 y^6 (S_r - 1)^3 (\cos\theta - \sin\theta)^3} \tag{式 2-5-21}

図 2-5-15 方塊ブロックの係数算定図

図 2-5-16 安定数算出のための防波堤周辺の諸量の定義図

5.4 直立消波ブロック式係船岸における上部工に作用する波圧

越流時の揚力係数 CLC_L については、概ね CL=2.4C_L = 2.4 程度となる報告があるので、これを参考としてもよい。

図 2-5-9 荷重分布イメージ図(非越流時)